パン屋・ベーカリーの内装工事等に必要なこと

パン屋・ベーカリーを開業する際は、最低限、そろえなければならない専用の器具が必要になります。初めての開業となると、どうしても資金に余裕がないので、すべてをそろえることは困難ですが、モルダーやオーブン、ミキサー、焙炉(ほいろ)は用意しておきたいところです。この記事では、パン屋・ベーカリーをオープンするに当たり必要な内装工事や厨房機器、押さえておくべきポイントについてご紹介していきます。

パン屋・ベーカリー向けの物件とは

パン屋・ベーカリーをオープンするに当たり必要なのは、販売のためのスペース、パン作りのためのスペース、そして材料などを保管するスペースです。これらを考えると、20坪程度はないと、スムーズに営業することは難しいと考えられます。
このサイズの物件を首都圏の駅周辺で借りることを考えると、家賃は最低、50万円ほどをみなくてはなりません。個人向けの賃貸物件とは異なり、敷金・礼金・保険料・前家賃の割合が業務物件は大きくなるため、開店費用だけでも家賃の10倍は最低限みておく必要があります。

居抜きとスケルトン

ビジネス向けの物件、特に飲食においては、居抜きとスケルトン、どちらの物件を利用するのかどうかは、常に課題となります。居抜きを選ぶ場合は、できるだけイメージに近い内装の物件を選ぶことが、なるべく費用を抑えるポイントとなります。

居抜き物件を選ぶ場合は、初期費用がかなり抑えられますが、前オーナーがどうしてその物件から出て行ったのか、その理由を確かめる必要があります。居抜き物件は、内装から機器まで、前の入居者がそのままにしていることが多く、開店資金をセーブしながらビジネスを始められるというメリットがあります。
しかし、前の入居者が出て行ったということは事実です。その物件に問題がなければよいのですが、もしかしたら出て行った理由は物件にあるのかもしれません。それでは、開店してもお客さんが立ち寄ってくれないかもしれません。
前オーナーがビジネスをあきらめた理由を探るとともに、立地などの点で、ほかとは比べものにならないぐらいのデメリットに晒されている場合もあるので、不利な材料がないかどうかは、あらかじめ考えておく必要がありそうです。

スケルトンの場合は、内装も機器も、すべて自力で手配しなければなりません。そのため、居抜き物件と比較すると、パン屋をオープンできる状態にするまでに、かなりのお金がかかります。そのため、開業資金を多く用意できないという方にはスケルトンはハードルが高いのが現実です。
しかし、自分好みのお店を作れるという自由度をとるのであれば、このスケルトンを選ぶしかありません。どちらを選ぶ場合でも、パン屋さんとして、長期的にビジネスをできる立地であるかどうかということが、もっとも大切です。

パン屋・ベーカリーに必要な設備

設備は、パン屋の規模や製造する製品などにより異なります。基本的には「厨房機器」「イートイン関連」「レジ関連」の3つに分けられるでしょう。

厨房機器

パン屋・ベーカリーでは、販売する製品などの条件が異なると、必要な厨房機器も異なります。通常、パンを焼くために必要な一般的な機器をすべてそろえると、400~800万円程度は覚悟しなければなりません。トングやトレイ、ディスプレイ用の什器なども、ここに含まれます。

イートイン関連

ただパンを製造して販売するだけではなく、小さなイートインスペースを設けるのが、最近のパン屋さんのトレンドです。イートインスペースは、必ずしも必要なスペースではないかもしれませんが、顧客にとって心地よいスペースを作れれば、それは集客につなげることができるので、検討してみましょう。それほど大きなスペースでない限り、DIYで済ませれば、初期投資額を数万円程度は抑えられるのではないでしょうか。

レジ関連

レジは、よほど大規模なビジネスをおこなう場合をのぞいては、スマホやタブレットで操作可能なものを導入すると、大幅に開業資金をセーブすることができます。電子マネーでの決済も可能なので、オープンの前までに、入念に検討しておくとよいでしょう。もちろん、事務的な作業に必要な備品なども忘れずに用意しましょう。

リースやレンタルを利用する

新品の厨房機器はとても高額です。パン屋を新規でオープンさせる場合は、何かとお金がかかります。そこで考慮したいのが、厨房機器のリースやレンタルといったサービスです。厨房機器はとても高額です。新品でそろえるのは大変ですが、業務用の厨房機器はかなり耐久性が高いので、長く使えます。資金にあまり余裕のない開店当初はなるべく出費を避け、ビジネスが軌道に乗ってから、新品の機器に入れ替えていくと考えると、スムーズです。

パン屋・ベーカリーの内装工事にかかる費用

パン屋・ベーカリーの内装工事には、まとまった資金が必要です。すでにご紹介したとおり、開業前の内装工事には、坪単価の約10倍のお金がかかるとされています。これは、店舗の規模にもよりますが、開業資金の半分程度は、内装工事にかかってしまうのが現実です。

パン屋・ベーカリーの内装工事で特徴的なこと

パン屋・ベーカリーの内装工事には、このようにまとまった資金が必要になるのですが、それには理由があります。パン屋・ベーカリーは、ほかの飲食店とは異なり、厨房のスペースを多くとる必要があるからです。水道や空調はともかく、電気を多く使うことになるため、それに合わせた内装工事をおこなわなければなりません。販売スペースのほかに、イートインを設けるとすれば、またそれに合わせた工事が必要になります。

厨房設備

業務用の調理器具、厨房設備は高額です。さらにパン屋・ベーカリーの場合は、中型から大型のオーブンを導入したいものです。小型のオーブンではどうしてもパンの生産キャパシティが少なくなってしまいます。基本的に薄利多売の商売なので、できる限り多くのパンを焼けるキャパシティがあれば、それに越したことはありません。

パン屋・ベーカリーをオープンして、今後、継続的に利益を生み出すためには、厨房設備だけで少なくとも400~500万円程度はみておくのが無難です。ただ、これでは開店資金を圧迫してしまいます。

そこで考えたいのがリースや中古厨房機器の利用です。もちろん、予算に余裕があればすべて新品でそろえたいところですが、「これでなければダメ」というこだわりを持っているもの以外は、リースか中古を利用して、浮いたお金を今後の資金に回すとよいでしょう。

パン屋・ベーカリーの内装は工夫が大切

パン屋・ベーカリーの内装工事は、40万円/坪程度はかかります。厨房機器と内装を合わせると、1000万円ほどは必要になるので、できるだけ自らのアイデアも駆使して内装を作り上げるとよいでしょう。

もちろん、プロでなければできないところはプロにお願いします。しかし、たとえばスポット照明や什器、バスケットなどのディスプレイは、ご自身で購入したりDIYしたりすれば、十分におしゃれなものになるでしょう。できることは自分でやることも、特にオープン時には大切です。

まとめ

パン屋・ベーカリーの内装工事や厨房機器の導入などで抑えるべきことをご説明してきました。パン屋・ベーカリーはどうしても初期投資が多くなりがちなので、物件選び、リースや中古厨房機器を利用するなどしてなるべく出費を抑え、今後のために資金をセーブするとよいでしょう。